演出ノート
「桜の園」を読んだとき、稽古を進めていったとき、思い浮かべたのはロシアのお屋敷の『子供部屋』ではなく、日本の古い一軒家にあるだだ広い仏間だった。そこでは冠婚葬祭はもちろんのこと、もっと日常的に家族以外の人の出入りがあるどこか風通しが良い場所。血縁ではなく、地縁の人が集まる空間。だから、少々1時間にまとめるには窮屈ではあるかもしれないが、周辺の人物をあえて切らず残すことにした。家族も知人も問わず、彼らがどうこの暮らしの場所と関わって、そして去ってゆくのか。そういうことを考えています。